2021年5月13日木曜日

「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(第5次)(案)」についてのパブリックコメント

  内閣府が募集している「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(第5次)(案)」についてのパブリックコメントを提出いたしました。



「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(第5次)(案)」(別紙1)についての意見


■4〜5ページ「3 施策実施において踏まえるべき考え方」について

項目④の「行政の支援」は「支援」に止まらなければならない。

項目⑤の「有害性の判断への行政の不干渉」は欠かせないが、この項目の「民間」は行政からの中立性が担保されていなければならない。


例えば、行政の人々が民間の施設を足繁く訪れ「支援」と称して指導をすること、あるいは「お声がけ」と称して指導的な内容の通達をすること、これらは民間にとっては圧力となる場合がある。圧力が生じては「支援」ではなく実質的には行政の介入となる。

「青少年インターネット環境整備法」の定義における「有害情報」例示には「わいせつな描写」が含まれる。猥褻性の判断は個人や社会集団が保持する価値観によって差異があるわけだが、有害性の判断に行政が介入しては、行政の側の人々が保持する価値観と差異を持つ人々に対し、強制力を持って価値観を否定することになる。行政が内心の自由に踏み入ることになるし、特にグローバル化が進んだ現代社会では、ある社会集団に共有される価値観に基づきその外部の社会に向かって理性を模倣させる圧力を与えようとして、軋轢が生じる例も少なくない。


■9ページ「5 国民運動の展開」について

インターネットに関わる技術(IT、ICT、IoT全般)に信頼を置いたまま行う「国民運動の展開」によって、それらの技術がもたらす問題を見落とすことを危惧する。


インターネットに関わる技術は不完全である。SNS、例えばツイッターでは誤認の規制により、ポリシー違反ではないにもかかわらずアカウントが凍結されることがある。アカウントに対するロックアウトや凍結に対しての、異議申し立ては後を絶たない。ツイッターで検索すれば、すぐさま誤認による規制のエピソードが複数ヒットする。

「国民運動の展開」で市民の間に昂揚感が伴うことになった場合、たとえ誤認によってでも、罪の烙印を押された人々は恰好の排斥対象となり名誉回復が困難になることを危惧する。あるいは、虚偽のポリシー違反の報告によるSNSを介した嫌がらせの発生を危惧する。「国民運動の展開」は、そうした例にはむしろ救済の反対に作用する危険性がある。


以上