2023年2月12日日曜日

【イベント告知】第4回『ジェンダーって何?』〜フェティシズムとトランスの欲望〜

 第4回目となるオンライントークイベント「ジェンダーって何?」のテーマは、『フェティシズムとトランスの欲望』です。

前回、永山さんから「フェティシズムは奥深いし、広範だし、多岐にわたっているし…」といった発言がありました。それは、前回扱ったシーラ・ジェフリーズの著書へのツッコミでもありましたが、トークはやむなく時間切れとなりました。もっとお話を伺ってみたかった!そこで今回あらためて、「フェティシズム」を含めたトークテーマとしました。

「フェティシズム」というと、世間一般には広義の意味で語られることが多いのかもしれません。しかしながら、狭義の意味での「フェティシズム」はモノを対象としています。「フェティシズム」は、心理学、ひいてはセクシュアリティやジェンダーのカテゴリにおいても研究対象とされていきました。「呪物崇拝」から、現在ではモノや部位に性的な欲望を抱くさまとして、深く考察されています。シャルル・ド・ブロスがこの「フェティシズム」という語を著書に用いて以来200年以上を経て、この概念は各カテゴリを越境し(≒トランス)、意味がそれぞれの場で徐々に変化してもいます。

元々「フェティシズム」は「トランス」との関連も深いので、その関連において考察することでいろいろな「気づき」があると考えました。

今回は、漫画やアニメ、「悪役令嬢転生おじさん」、シシィフィケーション等の話題を交え、「転換」「転生」といった意味も含めた「トランス」という枠組みで、「フェティシズム」と「トランスの欲望」について考察するトークとしたいです。

さて、どんなトークになるでしょう? おなじみ永山薫さんと柴田英⾥さんの対談を通し「フェティシズムとトランスの欲望」を深堀りします。今回も、司会の山田も補足的な解説をします。


[テーマ]

フェティシズムとトランスの欲望


[議題]

・フェティシズムの男女差

・トランスのいろいろ


[開催概要]

・対談者:永山薫 × 柴田英⾥

・開催形式:ZOOMライブ配信(タイムシフト1週間)

・開催日時:2023年3月4日(土曜日)19:00〜20:30(※ただし延長の可能性あり)

・料金:1,000円

・定員:100名

・司会:山田久美子

・主催:女子現代メディア文化研究会

※当イベント視聴用のZOOMのミーティングIDやパスコード、URLは、チケットをご購入いいただいたご本人に、前日にお知らせします。

※物価高や電気料金値上げによる諸々の経費上昇を鑑み、誠に恐縮いたしますが、料金を600円から1,000円値上げいたしました。


[質疑応答について]

当イベントでは、質疑応答のコーナーがあります。質問は事前に下記アドレスから受けつけます。

info@wmc-jpn.com



[お申し込み]

【パブコメ】誹謗中傷等の違法・有害情報に対するプラットフォーム事業者による対応の在り方 について

 総務省からパブリックコメントによる意見募集がありましたので、表現の自由に関わる部分についての意見を提出いたしました。なお、意見につきましてはMicrosoft Wordによる様式の指定がありましたので、当該様式にて提出いたしました。


【募集案件】

誹謗中傷等の違法・有害情報に対するプラットフォーム事業者による対応の在り方について


【詳細】

https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban18_01000181.html


【応募日】

2023年1月26日


【意見】


2.全体の検討を通じて留意すべき事項


[該当箇所]

「有害情報」について


[意見]

「有害情報」には道徳的規範を侵犯する表現も含まれる。国や地域の文化や歴史の差異により、道徳的規範さらには記号の意味にも差異があることに留意するべきである。例えば、我が国で寺を示す「卍」がドイツやヨーロッパでナチスの鉤十字を思わせるとの意見が聞かれる場合がある。海外に拠点を置くプラットフォーム事業者であるとしても、日本国内の「有害情報」の判断は日本の価値基準に合わせるべきであり、こうした場合は、こうした記号の利用が道徳的規範への侵犯および差別や誹謗中傷と判断するべきではない。



3-4.その他透明性・アカウンタビリティの確保が求められる事項(運用体制等)


[該当箇所]

「AI等による自動処理」について


[意見]

AIの自動処理を必ずしも否定しないが、AIの利用には人間による確認も介在させるといった、AIと人間のバランスも必要であると考える。AIは必ずしも適切な判断をしない場合があるし、文脈まで読み取らないのが弱点だ。2018年にはフェイスブックが、「ウィレンドルフのビーナス」の画像をサイト上から削除したことが知られている。これについては、市民ばかりではなく、展示を行っているウィーン自然史博物館からも批判を受けている。AIの判断が原因という説もあった。また、フェイスブックは2016年に、サイト上からベトナム戦争の報道写真「ナパーム弾の少女」を削除した後、その削除を撤回している。こちらもAIの判断が原因という説もあった。「ウィレンドルフのビーナス」や「ナパーム弾の少女」が、人間が目視した上での判断で削除に至ったとするならば、その判断をする人材についても適切な人材を選択するべきであるということは付け加えておく。



3-6.取組状況の共有等の継続的な実施


[該当箇所]

「産官学民の協力」について


[意見]

表現の自由は尊いとしても、表現をした結果、権利の衝突や人権侵害が起こった場合を鑑み、個別に裁判を起こしやすくするべきである。この場合、産官学民の協力が必要であることは否めないし、今後ともそういった取り組みは必要であると考える。一方で、「有害情報」の判断について、例えば何を「差別表現」とするのかについては、時代や国、社会、個別の集団、ひいては個人によって差異がある。例えば、我が国で寺を示す「卍」がドイツやヨーロッパでナチスの鉤十字を思わせるとの意見が聞かれる場合がある。公権力が一定の強制力を持ちつつ「有害情報」の判断の主体となると、「有害情報」の判断基準に「公権力」と「国や社会、個別の集団」で差異がある場合に、後者(の「有害情報」の判断基準)が強制的に否定されることになる。したがって、公権力が「有害情報」の判断の主体とならないよう、さらにいえば、公権力が情報の内容への規制を行わないよう留意しながら、産官学民の協力を行うべきである。



以上


女子現代メディア文化研究会代表

山田久美子


2022年10月27日木曜日

【イベント告知】[第3回]ジェンダーって何? 〜「美とミソジニー」とファッションとジェンダーと〜

 第3回目となるオンライントークイベント「ジェンダーって何?」のテーマは、『「美とミソジニー」とファッションとジェンダーと』です。

今回は、書店への撤去要求が起るなど話題の書籍「美とミソジニー  美容行為の政治学」(シーラ・ジェフリーズ/著)を通読し、気づいた点を指摘しながらファッションとジェンダーについて語り合います。

本書は力作かもしれませんが、ファッションや化粧についての雑な研究に基づいた「有害な文化的慣行」を論じています。雑な研究から導き出そうとする、女性のシューズ等のファッションや化粧についての議論には疑問があります。

「表現の自由」の観点から、本書の書店からの撤去には反対です。しかしながら、その雑な研究や議論についての異議は述べたいと思います。

本書を読む限りジェフリーズは、ファッションや化粧を狭くとらえ過ぎているのではないか? という疑問があります。そして本書では、ファッションが持つ問題に解決策を提示してきたデザイナーについての言及がないのも疑問です。そうした疑問を呈しつつ、まずは、ファッションや化粧についてもっと広い視野を持って語り合いたいと考えています。

「脱コルセット」ならば、ココ・シャネルが先駆者ですし、山本耀司はコレクションで「非ハイヒール」を通しています。そもそも、靴はヒールをなくすだけで「身体の負荷」を取り除けるのか? という疑問もあります。化粧もまた女性が行う「メイクアップ」だけではありません。ヘヴィメタルバンドのメンバーに見られるような、男性の化粧もあります。

本来、ジェンダーを考える上でも重要な要素であるはずのファッションや化粧。今回も、おなじみ永山薫さんと柴田英⾥さんの対談を通し「ファッションとジェンダーと」を深堀りします。今回も、司会の山田(本職はデザイナーです)も補足的な解説をします。

今回のイベントも、このような方にこそ推します。

・「ジェンダー」について判りたい方

・「ジェンダー」と「表象」に関連する炎上等、表現の自由に問題意識がある方

・「ジェンダー」を学校とはちょっと違った視点で考えたい方


[開催概要]

・対談者:永山薫 × 柴田英⾥

・開催形式:ZOOMライブ配信(タイムシフト1週間)

・開催日時:2022年11月23日(水・祝日)19:00〜20:30(※ただし延長の可能性あり)

・料金:600円

・定員:100名

・司会:山田久美子

・主催:女子現代メディア文化研究会

※当イベント視聴用のZOOMのミーティングIDやパスコード、URLは、チケットをご購入いいただいたご本人に、前日にお知らせします。


[お申し込み]

https://peatix.com/event/3398654/view


[質疑応答について]

当イベントでは、質疑応答のコーナーがあります。質問は事前に下記アドレスから受けつけます。

info@wmc-jpn.com


2022年4月15日金曜日

国連女性機関の「月曜日のたわわ」広告への抗議意見についての疑義

 【はじめに】

 国連女性機関本部が、「月曜日のたわわ」の全面広告について抗議する書面を日経新聞に送付していたとの一部報道がございます。(※1)
 報道における国連女性機関の意見について2点の疑義を呈します。


【疑義】

(1)胸が大きな女性の表象が含まれる広告が排除されると、胸の大きな実在する女性が疎外感を持つ場合があります。そうした女性にとってはエンパワーメントとは逆とならないか。

(2)国連女性機関が性的か否かの判断をしミニスカート姿を含め性的であるという基準であれば、国連女性機関の理想とする「女性像」の押し付けとならないか。


【疑義の詳細】

(1)について。そのように疎外感を持つ胸が大きな女性が、「女性のエンパワーメント」の対象外となってしまうことについて疑問があります。日本の広告にはJARO(日本広告審査機構)などが取り扱う案件はありますが、広告の排除や掲載中止はあくまで慎重な議論に基づいていなければなりません。

(2)について。規範の判断基準は社会集団によって異なりますが、国連女性機関が判断の主体となっている場合、国連女性機関の価値観の反影が含まれるという問題があります。 
 「アンステレオタイプアライアンス」において「ジェンダー平等」などと謳っておりますが、それは結局の所、国連女性機関が理想とする「ジェンダー平等」であり国連女性機関が社会集団として共有する女性の性規範・理想像を含むのではないかという点があります。
 現在の日本には、実在する人間としてのミニスカートの女子高生は存在します。その女子高生に国連女性機関が直接的に性的規範の圧力を及ぼすことになる可能性自体については検証されなければなりません。それはすなわち、「国際スタンダード」が実のところ西洋的価値観、あるいは、西洋を発祥とする宗教的価値観ではないか? そしてそれにより、日本人の性規範を指導しようという態度ではないか? ということについてです。日本人も含めたアジア人が、あくまで客体として西洋に指導される側でいるべきというならば、ポストコロニアルな視点からも容認できません。
 日経新聞についてもまた、同新聞社が「アンステレオタイプアライアンス」に加盟ているといっても、同新聞社の価値観や理想があります。まして、日本の一般企業の広告が国連女性機関の理想や西洋の性規範の宣伝目的で存在しているのではありません。
 当該広告については日本国内で現在も議論が続いておりますが、まずは日本国内の主体的な議論にまかせるべきであると考えます。


以上

女子現代メディア文化研究会代表/デザイナー・アートディレクター
山田久美子


※1:国連女性機関が『月曜日のたわわ』全面広告に抗議。「外の世界からの目を意識して」と日本事務所長/2022年04月15日(https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_6257a5d0e4b0e97a351aa6f7?utm_campaign=share_twitter&ncid=engmodushpmg00000004


2022年3月22日火曜日

【イベント告知】ジェンダーって何? 〜学校が教えてくれない「性」のヒミツ〜

 今回のイベントは、このような方にこそ推します。

・「ジェンダー」について判りたい方

・「ジェンダー」と「表象」に関連する炎上等、表現の自由に問題意識がある方

・「ジェンダー」を学校とはちょっと違った視点で考えたい方

今日ではニュースでも見聞きするようになった言葉、「ジェンダー」。危惧するのは、もはや「わけのわからない用語」になっているのでは? という点です。

「ジェンダー」には本来、「セクシュアリティ」や「セックス」とも関連する、複雑で奥深い概念や意味があります。コンテクストによって、用語としての揺らぎも生じます。

場面によっては、このような用語を安直に雑に用いることで、混乱を生み出しかねないとも考えます。

この度は、永山薫さんと柴田英⾥さんの対談を通し、そんな「ジェンダー」の基礎知識についてお伝えします。


[開催概要]

・対談者:永山薫 × 柴田英⾥

・開催形式:Zoomライブ配信(タイムシフト1週間)

・開催日時:2022年4月10日(日)19:00〜20:30(※ただし時間延長の可能性あり)

・料金:600円

・定員:100名

・お申込み:https://peatix.com/event/3200789

・司会:山田久美子

・主催:女子現代メディア文化研究会

※当イベント視聴用のZOOMのミーティングIDやパスコード、URLは、チケットをご購入いいただいたご本人に、前日にお知らせします。


[質疑応答について]

当イベントでは、質疑応答のコーナーがあります。質問は事前に下記アドレスから受けつけます。

info@wmc-jpn.com

2021年11月23日火曜日

【イベント告知】 オンラインシンポジウム ⼥性と性表現―表現者・ファンの視点から―

当会代表の山田がオンラインシンポジウムに登壇します。

ご興味ある方は、ぜひご参加くださいませ。 


日時:2021年11月28日(⽇)・12月5日(⽇) 17:00〜20:00時

場所:ZOOM(参加お申し込みはピーティクスにて)

主催:⼥性表現者の⾃由研究会

共催・後援:AFEE⼥性⽀部・⼥⼦現代メディア⽂化研究会・千住コンテンツ会

協賛:コンテンツ⽂化研究会

お申し込み:https://jyosei-to-seihyogen.peatix.com

料金:第1回、第2回、それぞれ別で、1,200円


11月28日(⽇):第1回「現状編」

【登壇者】

よーへん(xRデザイナー・VTuber)

⼭⽥久美⼦(デザイナー・アートディレクター/女子現代メディア文化研究会代表)

柴⽥英⾥(現代美術家・文筆家)


12月5日(⽇):第2回「歴史編」

【登壇者】

神⽥つばき(文筆業/東京女子エロ画祭主宰)

藤本由⾹⾥(明治大学国際日本学部教授)

笠原美智⼦(石橋財団アーティゾン美術館副館長)

2021年5月13日木曜日

「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(第5次)(案)」についてのパブリックコメント

  内閣府が募集している「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(第5次)(案)」についてのパブリックコメントを提出いたしました。



「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(第5次)(案)」(別紙1)についての意見


■4〜5ページ「3 施策実施において踏まえるべき考え方」について

項目④の「行政の支援」は「支援」に止まらなければならない。

項目⑤の「有害性の判断への行政の不干渉」は欠かせないが、この項目の「民間」は行政からの中立性が担保されていなければならない。


例えば、行政の人々が民間の施設を足繁く訪れ「支援」と称して指導をすること、あるいは「お声がけ」と称して指導的な内容の通達をすること、これらは民間にとっては圧力となる場合がある。圧力が生じては「支援」ではなく実質的には行政の介入となる。

「青少年インターネット環境整備法」の定義における「有害情報」例示には「わいせつな描写」が含まれる。猥褻性の判断は個人や社会集団が保持する価値観によって差異があるわけだが、有害性の判断に行政が介入しては、行政の側の人々が保持する価値観と差異を持つ人々に対し、強制力を持って価値観を否定することになる。行政が内心の自由に踏み入ることになるし、特にグローバル化が進んだ現代社会では、ある社会集団に共有される価値観に基づきその外部の社会に向かって理性を模倣させる圧力を与えようとして、軋轢が生じる例も少なくない。


■9ページ「5 国民運動の展開」について

インターネットに関わる技術(IT、ICT、IoT全般)に信頼を置いたまま行う「国民運動の展開」によって、それらの技術がもたらす問題を見落とすことを危惧する。


インターネットに関わる技術は不完全である。SNS、例えばツイッターでは誤認の規制により、ポリシー違反ではないにもかかわらずアカウントが凍結されることがある。アカウントに対するロックアウトや凍結に対しての、異議申し立ては後を絶たない。ツイッターで検索すれば、すぐさま誤認による規制のエピソードが複数ヒットする。

「国民運動の展開」で市民の間に昂揚感が伴うことになった場合、たとえ誤認によってでも、罪の烙印を押された人々は恰好の排斥対象となり名誉回復が困難になることを危惧する。あるいは、虚偽のポリシー違反の報告によるSNSを介した嫌がらせの発生を危惧する。「国民運動の展開」は、そうした例にはむしろ救済の反対に作用する危険性がある。


以上