2023年2月12日日曜日

【パブコメ】誹謗中傷等の違法・有害情報に対するプラットフォーム事業者による対応の在り方 について

 総務省からパブリックコメントによる意見募集がありましたので、表現の自由に関わる部分についての意見を提出いたしました。なお、意見につきましてはMicrosoft Wordによる様式の指定がありましたので、当該様式にて提出いたしました。


【募集案件】

誹謗中傷等の違法・有害情報に対するプラットフォーム事業者による対応の在り方について


【詳細】

https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban18_01000181.html


【応募日】

2023年1月26日


【意見】


2.全体の検討を通じて留意すべき事項


[該当箇所]

「有害情報」について


[意見]

「有害情報」には道徳的規範を侵犯する表現も含まれる。国や地域の文化や歴史の差異により、道徳的規範さらには記号の意味にも差異があることに留意するべきである。例えば、我が国で寺を示す「卍」がドイツやヨーロッパでナチスの鉤十字を思わせるとの意見が聞かれる場合がある。海外に拠点を置くプラットフォーム事業者であるとしても、日本国内の「有害情報」の判断は日本の価値基準に合わせるべきであり、こうした場合は、こうした記号の利用が道徳的規範への侵犯および差別や誹謗中傷と判断するべきではない。



3-4.その他透明性・アカウンタビリティの確保が求められる事項(運用体制等)


[該当箇所]

「AI等による自動処理」について


[意見]

AIの自動処理を必ずしも否定しないが、AIの利用には人間による確認も介在させるといった、AIと人間のバランスも必要であると考える。AIは必ずしも適切な判断をしない場合があるし、文脈まで読み取らないのが弱点だ。2018年にはフェイスブックが、「ウィレンドルフのビーナス」の画像をサイト上から削除したことが知られている。これについては、市民ばかりではなく、展示を行っているウィーン自然史博物館からも批判を受けている。AIの判断が原因という説もあった。また、フェイスブックは2016年に、サイト上からベトナム戦争の報道写真「ナパーム弾の少女」を削除した後、その削除を撤回している。こちらもAIの判断が原因という説もあった。「ウィレンドルフのビーナス」や「ナパーム弾の少女」が、人間が目視した上での判断で削除に至ったとするならば、その判断をする人材についても適切な人材を選択するべきであるということは付け加えておく。



3-6.取組状況の共有等の継続的な実施


[該当箇所]

「産官学民の協力」について


[意見]

表現の自由は尊いとしても、表現をした結果、権利の衝突や人権侵害が起こった場合を鑑み、個別に裁判を起こしやすくするべきである。この場合、産官学民の協力が必要であることは否めないし、今後ともそういった取り組みは必要であると考える。一方で、「有害情報」の判断について、例えば何を「差別表現」とするのかについては、時代や国、社会、個別の集団、ひいては個人によって差異がある。例えば、我が国で寺を示す「卍」がドイツやヨーロッパでナチスの鉤十字を思わせるとの意見が聞かれる場合がある。公権力が一定の強制力を持ちつつ「有害情報」の判断の主体となると、「有害情報」の判断基準に「公権力」と「国や社会、個別の集団」で差異がある場合に、後者(の「有害情報」の判断基準)が強制的に否定されることになる。したがって、公権力が「有害情報」の判断の主体とならないよう、さらにいえば、公権力が情報の内容への規制を行わないよう留意しながら、産官学民の協力を行うべきである。



以上


女子現代メディア文化研究会代表

山田久美子